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単行本
毎日新聞仙台支局編著、『東北大学』、毎日新聞仙台支局、1985、p219-p221より引用

掲載写真:仙台市役所特別提供 (昭和40年代〜50年代の写真を掲載しています)
 
 
白頭山

  「東北大生でここを知らなければモグリ」といわれるホルモン焼き屋がある。ネオン街の街路奥の「白頭山」。赤ちょうちんの戸口から店に入ると、やかましさと肉を焼く煙がいっぱいの十五畳ほどの板の間に学生らがひしめくように卓を囲んでいる。
 クラブ、授業や女性の話題に花を咲かせる。かと思えば「青葉萌ゆるこのみちのくうー 今ここにはらから我ら 力持て歌うー」と学生歌をうなるツメえり学生。一杯二百円、二十五度の梅割りでつぶれた学生は狭い卓の下にもぐり込んで眠っていた。 「会社員とか水商売、オカマも来るけど、学生多いね。特に東北大生は、暴れたり、吐きまくったりいろいろあるけど、とにかく面白い。今日はどんな学生くるかって」と一人で店を切り盛りする石田千恵子さん(38)。学生からの呼び名は「おばちゃん」「お母さん」。八年前に亡夫のやっていた店を継いだ。中、高生の娘二人を養いながら、夕方から朝六時ごろまでの開店。泥酔でたどりついた学生にも「一杯飲んできちんと帰んなさいよ」と店に入れてやる毎日だ。
 つい二週間前、体育会のラクビー部と航空部の連中が力だめしにマラソン競争。「行ってきます」と店の前から二手に分かれ、ラクビー部は間もなく戻ったが、かなり酔った航空部は二時間余り後「青葉山を一週してきた」とドドッと到着。荒い息づかいで「楽勝です」。


 試験の後やクラブの試合の日は特に盛り上がる。一カ所の卓が歌や芸を始めると部屋中に騒ぎが拡大。最後には「洗濯屋―、日本一の洗濯屋―」という節回しで脱ぎ出して裸で走り回る学生も。
  「酔って他の店の看板を壊した。どうしよう」と相談に来たこともあった。店のお兄さんに「十五万円払え」と言われたのだという。「あんたたちが悪いんだから、とにかくあやまって直して来なさい」。学生らの手で元通りに修理して済んだ。
 「でも楽しいばかりじゃない。練習中の事故で学生が亡くなったり、悲しいこともあった」。四年前の夏、よく来た文学部の学生が自室でガス中毒死。酔っての過失死だったという。「飲むと寝る癖があって注意していた。うんといい子だったのに・・・・」。店に友人らが集まってお骨を囲んで飲んだ。店は三日間閉めた。

 「学生、昔も今もそんなに変わってない。ベロベロに飲んで発散してから自分のこと考えればいいと思う。今しかできないんだから。社会にでたらみんなピリッとなって顔見せてくれるよ」とおばちゃん。店では毎春卒業式の日、はなむけに学生らにたる酒をふるまう。
 若者はネコもシャクシもイッキ、イッキの流行の中、東北大は「ワッセ、ワッセとドンブリ酒が寮の伝統。女の子と飲むのも楽しいけど、ほとんどは仲間と安い酒で酔っ払う」(寮生)
 
 
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