育児も研究も諦めない 「育児と研究の両立支援」(注3)
女性科学者にとって最も高いハードルはどのようにして育児期間中の研究を継続していくかということだと思いますが、同時に研究室にとっても「チームに育児期間中の女性がいた場合、どのようにして研究のアクティビティを維持するか」がネックになっているようです。
育児休業を利用するという手段もありますが、年単位で研究から離れると復帰が不安になるかもしれません。女性研究者が、育児も研究も諦めないで活躍していける支援システム、それがこの「育児・介護支援」です。研究を中断する育児休業だけではなく、育児をしながら研究も続けている教員に対しても人的支援をし、それによって女性の負担を減らしつつ、同時に研究室のアクティビティ維持への不安を解消する、そういったことを目標にしています。
具体的なプログラムとしては、研究・教育の補佐をする支援要員の配置、ベビーシッター利用、短時間勤務制度、育児を考慮した研究評価制度の検討などがあります。
残念ながらこれらの制度はまだよく周知されていないようです。ニーズのある方にシステムを理解していただいて、ぜひ利用してほしいと考えています。「育児中」ということに敢えて定義を与えず、優先度が高い方から利用できるという自由度の高いシステムなので、小学校低学年児をもたれている方も遠慮せず、再募集の際には応募してください。
また、この制度の対象は、現在は女性ですが、学内の男性研究者、男性職員にも関心を持ってほしいと考えています。育児や介護は男性・女性が協力して行っていくものです。この事業は、恒常的な制度として大学で継続していくものですから、特に研究室を運営する方に、優秀な人的資源を活用する制度ができつつあることを十分に理解し、積極的に人材育成を進めていただきたいと思っています。
(注3)「育児と研究の両立支援」
女性科学者の「研究生活と、出産と育児・介護との両立」を支援するプログラム。短時間勤務や育児休業制度の弾力的運用を検討、試行および実施を行う。また、育児・介護との両立を考慮した研究・教育業績評価制度についても検討し、提案する。両立支援推進のため支援要員(授業代講非常勤講師、実験補助者等)を配置するとともに、ベビーシッター経費を支給する。
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