次期総長候補者として
この度は次期総長の最終候補者としてご指名頂き、ありがとうございます。これは私一人でどうなるというものではなく、東北大学の中に私を支援してくださる方が沢山おられたということで、大変ありがたく感じるとともに、責任の重大さを実感しております。 法人化後の過渡期の現在を、更なる発展のための絶好の機会と捉え、法人の特徴を十分に発揮しながら東北大学の発展に努めていきたいと考えております。どうか宜しくお願い致します。
東北大学が目指す方向性
大学の基本的使命は、「知の創造」と「人材の育成」だと考えております。その趣旨に沿いながら知的、人的ともに資産を増やし、国際的評価を高め、世界で輝ける活力に富んだ大学として、世界トップレベルの研究教育拠点として発展させたいと考えております。 またそれに伴って、地元の仙台もまた国際研究拠点都市として共に発展することを望んでいます。
法人化による変化
法人化前の大学は、教授会や教員を中心に「知の共同体」として運営されてきましたが、法人化により「知の経営体」へ変化しました。 教員、事務職員、技術職員、同窓会、東北大学のОB、地域の方達、皆ともに発展していく、それが法人としての大学の精神のポイントなので、それを十分に理解し、その特徴を活かしていくことが今後の大学の基本方針と考えています。
大学としての具体的指針
何よりも、活力に富み、人間力の高い学生を育成することが非常に重要だと考えています。 既にヨーロッパ、韓国、中国、シンガポール、インド等の諸外国においては、非常にグローバルな視点を持った学生が活躍しはじめています。 東北大学でもそういった国際的人材の育成が不可欠だと感じています。たとえば全学教育期間の学生を、全員とはいかなくても、協定を結んでいる海外の大学に派遣し、カレッジ生活を経験するというような新しいカリキュラムなども、学生の国際化を高める上で有効ではないかと考えています。 また、大学において学生や教育と同様に重要な要素、すなわち人材と研究の面においても、教員、事務職員、技術職員の能力の向上につながる施策を、インセンティブとともに考えていく必要があると感じています。
教育・研究のための新しい体制
既に今年4月1日より国際高等研究教育院が仮発足しておりますが、来年度からは正式に国際高等研究機構がスタートし、その中で国際高等研究教育院と国際高等融合領域研究所が運営される予定となっています。 それにより、東北大学に分野融合的な新しい教育システムが誕生いたします。これは、研究科単位で各人が細分化した研究分野で研究を進めていくという現在の教育体制に加えて、分野融合的な研究を可能とする教育研究機関を発足させ、現在の教育体制を補完し強化するものです。 それによって、学生、研究者が複眼的視野で多岐に思考できるように支援するものでもあり、そういった新しい人材を育成することによって、東北大学の学生の質の向上、研究者の更なる発展を考えております。
知の経営体として
法人化によって、技術職員、事務職員、教員が一体となって大学を支えていく必要が生じてきました。現状のネットワークシステム等の充実を計り、定期的な業務の時間削減を実現させ、創造的な業務に時間がとれるようにすることによって、教職員の方々により積極的に大学運営に参加していただくといったような体制作りを考えています。 ネットワークシステムの強化は、事務的な仕事のみならずインターネットスクール等の大学の更なる発展にもつながるでしょうし、東北、日本全体、海外ネットワーク的な教育システムにも活用できるのではないでしょうか。それによって東北大学の国際化とステータス向上を期待します。
東北大学同窓生への期待
法人化を契機に「知の共同体」から「知の経営体」へ変化したことによって、同窓会も大学のパートナーの一員と認識し、イコールパートナーシップのもとで学生の発掘に貢献していただくというような新しい局面を迎えていると考えています。 例えば、同窓会組織や全国に広がるネットワーク、情報を活用させていただいて、素養のある生徒に東北大学に入学してもらうなど、有望な学生を集めるために機能していただくことなどを考えております。 そうした大学の管理運営や方針などにご理解を得て、同窓生の皆様にご協力いただいて東北大学基金を充実させ、その基金によって学生の海外派遣や質の高い人材育成を計るといったような、よい意味での循環体制が構築できればと念願しております。