「新しい教養教育を求めて」
原 研二=文 text by Kenji Hara |
新しい歴史の教科書が国際問題まで引き起こして、大きな話題となっています。ここで、この教科書のことに直接立ち入るつもりはないのですが、私のように長くドイツ文学の研究に携わってきた文科系の人間の目からみると、人文科学の分野の教科書が大きな話題になっていること自体は歓迎するべきことです。というのも、21世紀の教育を考える上で、人文社会科学分野の教育が非常に大きな意味を持っていると私は考えているからです。 語学の問題ひとつをとっても、日常会話や旅行会話ができることは大切ですが、しかし会話をするスキルを身に付けても、そのスキルを使って相手に伝えるべき中身がなければ、国際人と言えるかどうかは疑問です。むしろとつとつとした表現であっても、内容のある話であれば、より高く評価してもらえるのではないでしょうか。私は、多くのヨーロッパの人と付き合うなかで、そういうことを実感してきました。けれども、現在の教育には、そのような内実を持たせるという側面が不足しているのではないでしょうか。大学の教育という観点からいえば、それは教養教育の不足であり、また日本の教育制度全体を考えてみた場合でも、真の教養を持たせる教育が軽視されているのではないかという危惧の念を私は持っています。スキルを超えて、人間の内実を深めるような教育が今こそ必要とされており、それを担う上で、人文社会科学は大きな責任を持っていると私は考えています。 |
1951年生まれ |
I N F O R M A T I O N
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平成13年度
総合学術博物館 「自然史探訪」 公開講演会 |
第1回平成14年2月9日(土) 午後13:30-15:30 関 宗蔵(理学研究科天文学専攻教授) 130億年の宇宙史 第2回平成14年2月16日(土) 午後13:30-15:30 工藤 博司(理学研究科化学専攻教授) 元素の起源 第3回平成14年2月23日(土) 午後13:30-15:30 中森 亨(理学研究科地学専攻助教授) サンゴ礁と地球環境 |
第4回平成14年3月2日(土) 午後13:30-15:30 尾田 太良(理学研究科地学専攻教授) 1万8000年前の氷河期の世界 第5回平成14年3月9日(土) 午後13:30-15:30 森 啓(総合学術博物館教授) もっと自然史を理解しよう 受 講 料 無料 会場・問合せ先 東北大学総合学術博物館 (仙台市青葉区荒巻字青葉tel 022-217-6768) |