学生ボランティア活動の報告

 厳しい東北の冬を乗り越えれば、季節は巡り、〝春(HARU)〟がやってくるように、東北の地には、夢も希望も幸せも必ず満ち溢れる。  そんな思いを指標に私たちHARUは震災後まもなくの3月24日の設立から新学期を迎える5月8日現在までで、千人を超える東北大生・教職員の方々に登録して頂き、のべ2千2百人超の参加者がボランティア活動を行いました。主に、東北大学内の図書館復旧作業、気仙沼市へ衣類・学用品類の物資支援、仙台市、山元町、名取市、石巻市、気仙沼市地区での復興支援・ボランティア活動など約50のプロジェクトを実施しました。山元町ではHARUの活動が始動した当初から連日40名程度の学生を派遣し、避難所運営補助、支援物資仕分け、ボランティアセンター受付、個人宅清掃、交通整備などのボランティア活動を続け、HARUと山元町民との良好な信頼関係を築くことができました。

 HARUでは、現場を目の当たりにした学生たちが毎回フィードバックを行うことによって、課題を議論し、解決、発展させながら、個人として、また、団体として成長することを意識してきました。未曾有の被害を前にどこで何をするべきかという答えは誰も教えてくれません。一歩踏み出てみると、自分たちにできることしかできないということを痛感します。しかしその中で、自分たちでもできることを発見し、学生が実際の行動に移しながら、参加学生の大きな成長を達成することができました。

 机上の論議で終わらせず、地域に根ざし、他人を尊重しながら動く。問題を発見し、解決、発展させる。学生が地域社会に目を向け、東北地域を支える。さらに、将来的に世界へと羽ばたき、地域と世界をつなぐ橋渡しとなる。東北を変え、日本、世界を変える。それが地域復興プロジェクト〟HARU〝の目指すところです。私たちは、団体名を決めたときから早々にボランティアの文字を消しました。何年何十年かかる東北の復興に様々な角度から細くとも長く関わり続ける学生を輩出すること、それが東北地域の復興に貢献する私たちの活動です。今後も学生らしくそれぞれのフェーズに見合った無理のない活動を続けていきたいと思います。

環境科学研究科博士後期課程1年
HARU代表 鈴木 杏奈



 東北大学の学生の皆さんは多種多様なボランティア活動を行いましたが、ここでは医学部や大学病院などで組織された医療支援や保健衛生の面からの活動の一端を紹介します。  医療系学生の方々はこれまで学んできた知識を駆使して、医療支援でボランティアとして活躍しました。行き先は多方面で、多くの場合、大型バスで朝早くから出かけました。避難者の方々には高齢の方も多く、健康維持や衛生上の問題が生じないようにすることも重要です。保健学科の学生の皆さんは、保健師とともに保健衛生についての聞き取りや指導などに活躍しました(写真1)。また、避難所で感染症が流行したり、以前より病気療養中の方々が被災され、避難所で病状が悪化したりすることは避難生活の大きな問題となります。

 沿岸地区では多くの診療施設が津波で被害を受けたため、あちこちで仮設診療所が設営され、また、ハリケーンカタリナの被災後に活躍した眼科のさまざまな機器類が装備された車(フロリダ大学からの支援)による「移動仮設診療所」が活躍しました。医学科の学生の皆さんは、仮設診療所の手伝い(写真2)や、フロリダ大学からの移動式診療車での手伝い(写真3)、また、避難所での医師による検診の手伝い(写真4)など、大学でこれまで学んできた知識を駆使して、一所懸命に働きました。  学生の皆さんは、今回の未曾有の大惨事に、自分のできることを精一杯やることが大切であるとの思いから出発したボランティア活動であったと思いますが、将来、医療に関わる学生として、とても貴重な体験となりました。







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