多彩なリテラシー1 石碑拓本の世界
「祖師在法性古像」

東北大学文学部ドイツ文学研究室蔵「ヤーコプ・ブルクハルト全集」
撮影:川村和宏

 写真は「ヤーコプ・ブルクハルト全集」です。ブルクハルトは19世紀スイスの著名な歴史家で、29巻に及ぶ全集はスイス・バーゼルから順次刊行中です。第4巻「イタリア・ルネサンスの文化」の編集者の一人が東北大学大学院文学研究科・文学部の原研二教授でした。  東北大学とブルクハルトの縁は古く、戦前、ユダヤ人の血を引くドイツの哲学者カール・レーヴィットが日本に亡命し、東北帝国大学法文学部の教師として哲学とドイツ文学を講じましたが、彼はブルクハルトを論じた書物を著しています。またレーヴィットの弟子で、のちの文学部教授の柴田治三郎は、「イタリア・ルネサンスの文化」を翻訳しています。  原先生が日本人でありながらドイツ語のブルクハルト全集の共同編集者に選ばれたのは、このような縁によるところもあります。しかし、それだけではなく、一語たりともおろそかにせず精密にドイツ語を読む能力、ラテン語、ギリシア語、フランス語など諸外国語に通じ、ヨーロッパ文化を知悉する該博な知識が本国の研究者に認められた結果でありましょう。10年を越える編集作業は最終段階を迎えていましたが、原先生は2008年に惜しくも刊行をまたず、逝去なさいました。

東北大学大学院文学研究科准教授
嶋崎 啓
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|編|集|後|記|
この度の「東日本大震災」では、亡くなられた方々のご冥福を祈るとともに、被災された方々に心より御見舞い申し上げます。本学では、学生の2名と入学予定学生1名の尊い人命が津波の犠牲となりました。自宅や家族を失った学生や教職員も多数おります。また、依然として多数の方々が行方不明になっておりますが、この中には本学出身者も多数含まれております。本学では使用不能になった建物も沢山ありますが、4月25日には授業を再開することができました。また、震災後の復興へ向け、いち早く医療、放射線、地震や津波の解析、瓦礫や土地の改良など、多くの部局が専門性を最大限に生かして復旧・復興へ向けて貢献しています。学生ボランティア諸君も多大なる貢献をしてくれました。今号では、本学の大震災に対する取り組みの一端を紹介し、復興の大きな原動力として東北地方で中心的な役割を演じています東北大学の元気な姿を皆さんにお伝えしたく、「震災特別号」とさせて頂きました。一日も早い東日本地域の復興を心から願っております。
『まなびの杜』編集委員会委員長
齋藤 忠夫(東北大学大学院農学研究科 教授)
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