肝細胞がんなどでは、特定のたんぱく質が異常に蓄積・凝集化することが確認されています。この細胞内凝集体が酸化ストレスに対する生体防御システムを活性化し、がん細胞の増殖に有利な条件を作り出す仕組みの解明に成功しました。 |
本学金属材料研究所の西嵜照和助教と小林典男教授のグループは、ハイブリッド電磁石と呼ばれる強磁場発生装置を用いて、 27テスラの磁場中(地球磁場の50万倍)で材料の電気的性質を原子スケールで見ることのできる走査トンネル顕微鏡の開発に成功しました。これは、従来行われていた14テスラまでの実績を大きく上回る世界最高磁場での観測を可能にしました。この技術を省エネルギー材料として期待される高温超伝導体に適用することで、その機構の解明や実用化に大きな発展が期待されています。 |
本学大学院医工学研究科・佐藤正明教授、工学研究科・坂元尚哉助教、工学研究科大学院生で日本学術振興会の植木洋輔特別研究員らの研究グループは、血流を模擬した流れの中に曝された内皮細胞の断面像をリアルタイムに可視化し、変形挙動を観察することに世界で初めて成功しました。この研究は細胞の「力」に対する応答メカニズムを明らかにし、血管病理の解明や再生医学の発展に貢献すると期待されます。この成果は、米国速報誌 Biochemical and Biophysical Research Communications 誌オンライン版で公開されました |
本学大学院経済学研究科の吉田浩教授ら東北大学グローバルCOE(グローバル時代の男女共同参画と多文化共生)の研究グループは、全都道府県の男女平等度指標を測定し、ランキングを公表しました。これは、男女共同参画の先進国・ノルウェーの統計手法を参考にしたもの。おおむね中部、関西、中国・四国地方で平等度が高く、九州、東北、北海道は低いことがわかりました。また、「カカア天下」と呼ばれる上州地方では、必ずしも指標が高くありませんでした。宮城県は全国の中央付近の27位でした。 |
本大学大学院医学系研究科の中山昌明准教授(創生応用医学研究センター先進統合腎臓科学コアセンター)、伊藤貞嘉教授(創生応用医学研究センター先進統合腎臓科学コアセンター)、(株)日本トリムらの共同研究チームは、水素含有水を大量に作成する水の電気分解システムを組み込んだ血液透析システムの開発に成功。その臨床試験を行い、高血圧、炎症、酸化ストレスを改善する成果を得ました。この成果は、欧州腎臓・透析移植学会の学会誌 Nephroloy Dialysis Transplantation の電子版で発表されました。 |
ショウジョウバエの雄にしかない筋肉、ローレンス筋があります。本学大学院の野島鉄哉博士研究員(研究当時、大学院生)と山元大輔教授らのグループは北海道教育大学の木村賢一教授との共同研究により、この筋肉を作りまた動かすことに必須な単一の運動ニューロンをみつけ、その形成過程を明らかにしました。さらに、なぜ雄にしかないのかについて、その機構の一端を解明しました。この成果は英国の科学雑誌 Current Biology に掲載されました。 |
本大学院生命科学研究科・五十川祥代大学院生、諏訪部圭太博士研究員、渡辺正夫教授は、スイス・チューリヒ大学をはじめ国外8大学との共同研究によって、自家和合性であるアブラナ科植物のシロイヌナズナを、遺伝子の一部改変で自家不和合性に復帰させることに世界初に成功しました。アブラナ科の祖先は近交弱勢を防ぐ「他殖」(自家不和合性)を行い、シロイヌナズナが「自殖」するようになった仕組みは不明でした。この研究は、交配相手が少ない条件下では自殖が繁殖に有利になるとしたダーウィンの仮説を証明し、科学雑誌Nature の電子版に掲載されました。 |
本学加齢医学研究所の山家智之教授グループと医学系研究科先進外科学およびトキコーポレーション(株)は、蠕動運動搬送技術を生かした新しい人工食道を共同開発し、特許を取得しました(特許4486345 号)。これまで、食道管を再生させる手術法に成功していましたが、筋肉を持つ蠕動機構までは再生できませんでした。そこで、形状記憶合金アクチュエータであるバイオメタルを用いた蠕動機構を開発し、食物を飲み込む機能の再現を動物実験で成功させたものです。 |