Line-up of Leading-edge Research 最先端の研究ラインアップ
超伝導材料開発への新たなる道 絶縁体の超伝導転移温度を大幅に上昇 透明で安価なトランジスターを実現 ディスプレイや太陽電池での応用に期待

本学金属材料研究所の岩佐義宏教授は、材料に電圧をかけて超伝導化する手法を改善し、超伝導転移温度を0.4K(ケルビン)から15K まで40倍近く上昇させることに成功しました。この方法は、従来の化学的方法とは全く異なるもので、昨年、同研究グループによって発明されました。これにより、電圧による超伝導化という手法が広範な材料に適用できるものであることが明確に示され、超伝導材料の開発に新たな道が拓かれました。

本学原子分子材料科学高等研究機構の川崎雅司教授らは、酸化物界面の電気伝導特性を有機物を用いた電界効果で制御することに成功。透明で安全かつ安価なトランジスターを実現し、次世代のディスプレイや電子ペーパーなどの実現に大きく道を拓くものと期待されます。また、酸化物と有機物という異なる物質系の界面が、電子素子の代表例であるFETの精密動作に利用可能であることを明示しており、学術的な意義も大きいといえます。この研究はJST目的基礎研究事業の一環として、行われています。

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超高圧力条件でのSiO2ガラスの高密度化メカニズム解明 地球深部に「重い」マグマの存在 音が映像の見え方に影響 高臨場感マルチメディア技術・感覚代行技術の開発へはずみ

本学大学院理学研究科の村上元彦准教授(比較固体惑星学講座)らは、200万気圧を超える極限的超高圧力条件においてSiO2ガラスの高精度弾性波速度測定に成功し、SiO2ガラスが圧力約140万気圧以上の条件でより高密度な構造に変化し、従来予想されていたよりもずっと「重く」なることを突き止めました。この結果は、原始地球のマグマオーシャンからの地球の分化の歴史に大きな示唆を与えるとともに、今後、超高圧力条件における新物質合成の開拓にもつながることが期待されます。

本学および独立行政法人産業技術総合研究所らの研究グループは、音によって実際には静止した映像が動いて見え、音(聴覚情報)が映像の動きという見え方に強い影響を与えることを世界に先駆けて見いだしました。この成果は,異なった感覚器官からの情報を脳が統合するメカニズムに関する発見です。この成果によって、今後、脳における異種感覚間統合メカニズムの研究や、異種感覚間統合を利用した高臨場感マルチメディア技術開発を大幅に加速することができると考えられます。

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筋肉細胞の活発な収縮運動を長期維持可能なゲルシート培養系の構築に成功 愛のポーズは味覚で決まる 雄バエのプロポーズを助けるフェロモン

本学大学院工学研究科の西澤松彦教授、長峯邦明助教らの研究グループは、医工学研究科の神崎展准教授と共同で、向きを揃えて培養した筋肉の細胞をゲルシートに移し取る技術を開発。電気刺激に伴う筋肉細胞の収縮運動を1週間以上の長期に渡り維持することに成功しました。この成果は、2型糖尿病の運動治療のメカニズム研究や2型糖尿病の治療薬開発への応用が期待されます。本研究は12月14日に生命工学分野の学術誌「Biotechnology and Bioengineering」にオンライン掲載されました。

本学大学院生命科学研究科の小金澤雅之助教と山元大輔教授は、首都大学東京の松尾隆嗣助教らとともに、ショウジョウバエの雄が味覚を頼りに雌への求愛ポーズを決めていることを発見しました。ショウジョウバエの雄は、通常、雌に向かって片方の翅だけを振るわせる求愛行動をしますが、ある味覚神経細胞の働きを、毒素を作る遺伝子を利用して止めると、両方の翅を同時に動かすようになり、求愛がうまくいかなくなりました。この成果は、英国科学誌『Current Biology』のウェブサイト上で公開されました。

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がん転移の仕組みをナノメートルレベルで可視化 電子が隣の分子にも飛び移る伝導路を発見 分子素子の構造や特性解明に道

本学大学院医学系研究科の大内憲明教授、権田幸祐講師の研究グループは、東京大学大学院理学系研究科の樋口秀男教授らと共同で、ヒトの乳がん細胞を植え付けたマウス内でたんぱく質や薬物1分子の動きを世界最高精度(9ナノメートル(ナノメートルはミリメートルの百万分の一))で解析できる装置を開発しました。本研究によって初めて分子レベルでがん転移の様子を可視化することが可能となり、がん転移の活性化メカニズムの解明やがん悪性度診断、抗がん剤改良による治療法開発などへの応用が期待されます。本研究の成果は、1月22日に生命科学分野の学術誌「Journal of Biological Chemistry」にオンライン掲載されました。

本学多元物質科学研究所の米田忠弘教授らは、分子膜に電流が流れることで誘起される分子振動を計測する手法を用いて、分子の流れる電流の伝導経路についての知見が得られることを明らかにしました。本研究では、アルカンチオール自己組織化膜と呼ばれる分子が整列した試料を選び、独自のデバイスを作成。流れている電流の精密計測と計算シミュレーションを組み合わせて、伝導経路の解析に成功しました。これは分子エレクトロニクスの基礎となる伝導経路について明確な検証を行った最初の研究と考えられます。

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Award-Winning栄誉の受賞
11/16 薬学研究科・竹内英夫教授が「日本分光学会賞」を受賞
12/16 農学研究科・宮澤陽夫教授が「生体脂質の過酸化と抗酸化に関する研究」で安藤百福賞を受賞
01/15 電気通信研究所・岩崎俊一名誉教授が2010年(第26回)日本国際賞を受賞
02/04 理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センターの立花憲司統括技術専門員が第17回(2009年度)震災予防協会賞を受賞
02/08 工学研究科・福島誉史助教がドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリード・ワグネル賞2009」二等賞受賞


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