大学1年生を対象に総合科目「自分ゼミ」を開いています。ねらいは、「自分探し」であり、さまざまな話し合いを重ねて、自分自身を再構築する力を養うことです。ゼミと言っても受講生はさまざまな学部の学生たちで、今年は約270名に及び、上級生や他大学の学生、それから高大連携で、宮城一女高の生徒も20名弱が受講しています。さらに、話題提供者は、学生や社会人など学内外から参加していただき、毎回、全員で討論するなど、通常の授業とは違ったゼミです。
私は受講生たちに、「青年は、悩んで、自分を砕いて、そして新しい自分を創り、高い志を持つこと」を期待していますが、授業では、こんな説教はしません。話題提供者からさまざまな人生や自己形成の話を聞き、それに対して学生同士が質疑応答や話し合いをする中で、自然に感じ取ってくれることを願っています。話の素材が人生そのものですから、プライバシーとの関係で立ち入ることが難しい問題もありますが、全体としては面白くにぎわっています。
特に、恋愛の問題になると、学生の集中度が違ってきます。私がそういう話が好きだからそうなるという話もありますが、世の中は男と女しかおりませんし、特に青年時代は、自分を砕く上で重要な契機ですので、ひるまないで詰めるようにしています。ただし、「自分理解に正解はない」という原則が大切で、私の考えも1つの考え方にすぎないので、学生自身の考え方も大切にしてほしいと強調しています。
このことに限らず、学生には、自分のこだわりを大切にしてほしいと思っています。「自分砕き」は、その人を閉じ込めている殻を自問自答によって内側から破ることをねらいとしています。そのために上級生や社会人のさまざまな自己形成の事例を提供していますが、その場合、いかに話題提供者が自分の殻を破り、いかに自分のこだわりを大切にしたかを重視しています。
2001年から開いて3年目になりますが、この記録は、東北大学出版会より『自分―私がわたしを創る―』(2001年)と『自分―わたしを拓く―』(2003年)として出版していますので、関心のある方は読んでみてください。読まれると、学生たちの悩みや考え方を具体的に知ることができると同時に、私のこの授業が、実は、私の研究室の学生たちの協力と企画に負っていることがわかるはずです。
さらに私は、学生たちと話していて、「人づくり」のための具体的な活動をさ
せたいと思うようになりました。今年度から、学校参加のボランティアをお世話することにしました。学生たちが、小・中・高校などへ行って幼い少年少女たちと話し合う機会を持つことがより効果的ではないかと思うようになりました。それで、学校のお手伝いをするボランティア活動を全学部の学生たちに呼びかけています。目下、50名ほど応募がありますが、ぜひ、人間の幅を広げる機会にしてほしいと思っています。
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