同窓会「青萩会」の、和の輪。

Message from OB

OBからのメッセージ
 私の中の「東北大」

吉村 敦=文
text by Atsushi Yoshimura

集いあい、「青萩会」発足

 私の入学年度は昭和42年ですが、ベビーブーマーたちが大挙して押し寄せた大競争の時代でした。卒業時、専攻が土木学科ということもあり、建設会社へ就職しました。
 卒業後15年経過し、転勤で仙台に着任。まもなくの昭和62年に、ひょんな縁で46年度、47年度の工学部卒の数人が集まる機会を得ることになりました。その折り、これからはもっとOBの集まりを持とうとの気運が盛り上がったのです。当然、酒の力を借りてのことでした。
 いろいろ話し合った中に、いっそのこと工学部だけでなく全学部に呼びかけてはどうか、また年限を46年度卒から50年度卒に設定してはどうか、という意見が出て、これに賛同する声が多くあがりました。
 当時休眠状態にあった全学同窓会も建学80周年を機に立ち上がりつつあったのですが、私たちは知る由も無く若気の至りで一気に行動に移そうと、同会などから名簿を借り受けて、在仙のOB約1,200人に呼びかけることから始まりました。会の名称を考えあぐねた末、「青萩会」に決定しました。これは、東北大学の学生歌1、2番の歌詞の頭を取ったものです。
 これらの呼びかけに応じた有志が集い、「青萩会」発足パーティが催され、当時の石田名香雄総長にもご出席いただき、どうにか船出へとこぎつけました。昭和62年12月のことです。この時、思いがけなくも会長職を担うこととなり、まとめ役として会の存続を見守っていきたいと今に至っています。
 会員の入れ替わりもありますが、現在、会員数は約130名。設立以降、毎年2〜3月に総会、懇親会を開いてきました。総会出席者は30〜40名。総長にもご都合のつく限りご出席いただきながら、すでに15回を数えています。東北大OBの印象を一言で言えば、「真面目で、コツコツ、目立たず、群れず」と考えます。この気質を打ち破ろうと「群れて目立ち」をめざしていますが、「青萩会」は気軽に参加でき肩の張らない、その中にいろんな人間が混在して緩やかに結合している会です。会員同士ビジネスチャンスを得ながらのお付き合いはもちろん、囲碁、将棋など趣味の世界での交流を図り、歳を重ねるにつれ面白い会になってきています。

東北大の応援団としての歩みを

 大学進学の際に東北大学を選んだのは、「東京脱出」と「学生1人当りの教官数が最も多い大学」という受験資料がきっかけでした。その後、縁あって会社人生の後半生を仙台で過ごすこととなり、今では単なる出身大学ということだけにとどまらず家族の人生も含めて最も大切な縁深き存在になっています。
 東北大学は今、独立行政法人化など多くの困難な課題が山積しています。これからは、東北大学の優秀さ、独自性を独りよがりでなく堂々と日本・世界に向けて発信し、アジアのみならず欧米を含めた世界から認められる学問・研究教育・人材育成の府として、「世界の大学」になってほしいと願います。また、一方で、開かれた大学として敷居が高くならないような工夫をしながら、地域とそこに暮らす人々の中に溶け込んでほしいと思います。
 私たち「青萩会」は、こうした状況下、卒業生、社会、大学との橋渡し役・繋ぎ役として、長い目で大学を見ることのできる応援団として、東北大学と一緒に私たちも成長していこうと考えています。若手の方も大歓迎ですので、ぜひ参加いただいて、その輪が広がることを願っています。


 

よしむら あつし

東北大学工学部土木学科卒
株式会社大林組東北支店勤務


 東北大学出版会だより

 平成14年度東北大学出版会は15点の新刊を刊行しました。年度当初の計画をほぼ達成でき、胸をなで下ろしているところです。今回は新刊のうち6点をご紹介いたします。
 『オリバー・クロムウェルとイギリス革命』(4,700円、清水雅夫氏訳)は、クロムウェルの生涯をつぶさに追ってその行動原理を解き明かした、イギリスの著名な歴史家クリストファー・ヒル氏の名著(ペンギン・ブックス)の翻訳です。足立達氏(東北大学名誉教授)著『乳製品の世界外史』(9,500円)は、乳製品の加工技術の歴史をひもとき、その将来を展望した大著です。本書は科学研究費の出版助成を得ました。『自分―わたしを拓く―』(1,000円、水原克敏氏(東北大学教授)編)は、何をどのように考え、「自分」のこととして生きようとしているのか――現在の大学生たちの個人的な体験をもとに、彼らの問いかける姿が赤裸々に綴られています。前著『自分―私がわたしを創る―』の続編です。尾坂芳夫氏(東北学院大学教授)著『風土が育む日本の技術知―地球社会的知への止揚―』(1,900円)は、日本の風土の原点に立ち返り、今日的な科学技術の発展の意味と可能性を問いかけています。『人文社会科学の新世紀』(1,800円、原研二東北大学教授他編著)は、大学入学前後の若い人たちのための「東北大学文学部」案内として企画されました。文学部の各専門分野の教員たちが、学問研究にとってもっとも大切な事柄を、それぞれの専門の研究内容に即して分かりやすく提示しています。『海を学ぼう―身近な実験と観察―』(1,500円、日本海洋学会「海を学ぼう」編集委員会編)は、「海」から、「海」を通してなにを学ぶことができるのか――海の生物や物理現象などから身近な題材を選んで、小学校から高等学校までの幅広い年代の生徒向けに作られています。総合的学習や選択時間の格好の手引き書となるでしょう。
 小会の書籍はホームページからも注文可能です。新しくなったHPをぜひご覧ください。

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