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インタビュー

奥山 恵美子(おくやま えみこ)
第30回 2011年9月更新 仙台市長・東北大学経済学部 1974年卒業 奥山 恵美子(おくやま えみこ)

1974年東北大学経済学部卒業、75年仙台市職員に採用、93年に市民局生活文化部女性企画課長に就任。教育局の生涯学習課長、せんだいメディアテーク館長、市民図書館館長、仙台市教育委員会教育長、仙台市副市長を経て、2009年8月仙台市長に就任。


2009年7月の選挙で初当選、政令指定都市において女性市長が誕生するのは史上初と、注目を集めた奥山恵美子さん。第33代仙台市長就任2年を目前に総合計画の地固めを進める中、市政を揺るがす東日本大震災に見舞われる。ひるむことなく復旧から復興への地歩を着実に積み重ね、事業費に充てるため自らの給与を20%カットするなど、常に市民と共にあるという覚悟で市政の陣頭指揮にあたっている。

変化の波に応える、しなやかな勇断を。

変化を皮膚感覚でキャッチした学生時代

私は経済学部で学びましたが、在学した4年間は学生運動が盛んな激動の時代でした。休講が多く、経済学部で学んだことはほとんど限られたことだけでしたね(笑)。

同期生240名中、女性は2人でした。卒業時に女性を採用したい企業が1、2社しかなく、男子学生には就職情報がダンボール1箱分も届いていたというのに…。男女の雇用機会均等などは考えられない時代で、男女とも採用試験を受けられる公務員を志望したわけです。

以来、仙台市職員として昭和50年から30数年間、勤めまして、この市庁舎にずっと居座っております(笑)。

現在、市長として、組織のトップの立場で考えるべきなのは、社会は常に変わっていくということです。一人ひとりが抱える状況は変えにくかったり、大きな壁に突き当たったように考えがちですが、長い目で見ていけば、必ず社会は変化します。

これから社会はどのような方向で変わっていくのか。また、住民はどのように変わってほしいと考えているのか。トップは、これらの点に常に敏感になり、方向性をビジョンとして持っていなければならないと考えます。そういった面では、やはり学生時代に社会は変化することを知ったのが大きかったでしょうし、自分のバックボーンのどこかにはあると思います。

仙台のDNAにある「学都」と「文化性」

東日本大震災は、日本社会にとっては終戦のように大きな曲がり角になるものと予測されます。ただ、仙台で震災対策に取り組んでみて痛感しましたのは、今までやってなかったことが震災になってできる訳ではないこと。急に反省してやろうとしても、まちも人も動きません。今までやってきたことをより高く、より強くなど、さらにレベルアップすることはできるのだと思います。

震災など何があっても、仙台の大きな特質として伸ばしていきたいのは、一つは東北大学を中心とした学都という性格です。これは、単に学生が集まるまちというのではなく、市民の皆さんの誇りの一つであり、アイデンティティの核になっています。学都としてのまちの雰囲気やバックボーンは、今後も大事にしていかなければなりません。

震災後に学都で勉強したい若い人々が離れていくことを防ぎ、仙台で勉強することに高い価値を持ち続けるようにすることが、仙台市政の重要課題ですし、東北大学とご一緒に取り組んでいきたいものです。

もう一つは文化性であり、都市文化というものが仙台に品格を与えていることも注目されます。例えば、音楽活動が盛んで、音楽にシンパシーが大きいです。今回、震災に遭いまして、クラシック界の世界的な音楽家などから支援金を頂戴したり、ボランティアの演奏活動も大変多かったです。

今後のまちの復興を考えますと、被災者の皆さんの暮らしの再建が最も重要ですが、それとともに都市が力強くなるためには、何か力強さを象徴するものが必要です。仙台の場合は、それが「学都」と「文化性」の要素であると考えています。学都、文化性の2つは仙台の誇るべきDNAですから、今後もさらに光り輝くようにしていきたいものです。

総合力を持った東北大学の、地域還元に期待

大学の役割について考えますと、大学は社会とつながる学校教育の最後です。例えばカリキュラムが整い、理屈が通っていた学校の先にある社会は、システムが整然と秩序だった学校とは全く違うのです。私たちが大学で学んだ時代は、知識を与えることで職業につなげていたのでしたが、今はそれだけでは大学は役割を果たせなくなったのではないでしょうか。

高校時代には経験できなかった、社会の多様性や異質性、グローバル化などの要素を、大学の中でややコントロールさせながら学生に経験させていくことが望まれます。例えば、広く海外の若者たちと一緒に勉強する機会を経験させるのも一つです。

大学の力として、知識の修得や研究を基本にして、プラス異文化との交流や接触する機会を学生に与え、幅広い知識と新しいものを知ろうとする意欲と、異文化に接していくたくましさとの、これら3つを大学で培えるようになるといいですね。

東北大学は、世界リーディング・ユニバーシティの目標を掲げておられますが、世界レベルで研究をする大学という体制を維持してほしいと願っています。世界標準と闘う組織は稀少ですから、そのような体制を大切にしてほしいものです。

元来、東北大学は実学尊重を方針の一つに掲げて、産業界との接点も維持してきてますが、今後は独立大学法人の評価ポイントにカウントされる地域連携の動向が注目されます。今回の震災は総合的な課題が山積されてますので、総合大学である東北大学に、津波のシミュレーションや沿岸部の塩害対策など、各学部の先生方にご相談してご尽力いただいております。これも、トータルな総合力を持った東北大学が仙台にあればこそですので、東北大学の地域還元に期待を寄せております。




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