地域イノベーションプロデューサー塾構想 ―東北地方のリーダー的経営人材を育成する―

 東北地方が震災から復興し地域経済を発展させていくためには、それを力強く推進する多くの経営人材を育成することが必要です。しかし、東北地方にはこのようなリーダー的経営人材を継続的かつ体系的に育成するための仕組みがほとんどありません。こうした問題意識から、本学経済学研究科の地域イノベーション研究センターは、東北地方の経営人材を育成するための仕組みとして「地域イノベーションプロデューサー塾」を構想しています。

地域イノベーションプロデューサー塾の概要図

東北地方の経営人材育成の問題点

 当センターが最近行った実態調査の結果から、これまでの東北地方における人材育成の取り組みには、次のような重要な問題点があることが明らかになりました。
○短期的な講座やセミナーがほとんどで、継続的かつ体系的な経営人材育成の仕組みがほとんど存在しない。
○汎用的な経営知識や啓発的な内容が多く、東北地方の現実的な課題や地域企業ならではの問題とニーズに合った実効性の高い人材育成プログラムが非常に少ない。
○地域の企業と財界などは人材育成の必要性を強く認識しているものの、そのための投資には消極的である。

地域イノベーションプロデューサー塾構想の概要

 このような問題点から見えてきた課題に対応するために、当センターは、地域の現実的な問題とニーズに対応した継続的かつ体系的な経営人材育成の仕組みとして二〇一三年度に「地域イノベーションプロデューサー塾」を開設することにしました。その概要は以下のとおりです。
○地域の企業・自治体・NPOなどの次世代の経営者や管理職を主な育成対象とし、革新的な新事業をプロデュースできる経営人材を育成する。
○およそ八ヶ月間にわたって、基礎知識を体系的かつ実践的に学習する「基礎講座」、特別に設定したテーマについて学習する「特別講座」、および問題解決やイノベーションをリードするためのスキルとマインドを習得する「研修」を提供する。
○塾生が新しい事業のアイデアや構想について体系的に調査研究を行い、ビジネスプランづくりに取り組む「ビジネスプラン個人研究」、およびそれを新事業開発の専門家が指導する「ゼミ」を行う。
○卒塾後は、地域の大学・経済団体・自治体などで組織するコンソーシアムが、卒塾者の事業化プロジェクトの実行を知識・情報・資金・人脈などの面で支援する。
○卒塾者のうち優秀な者は、塾の講師として活用する。
以上のように、本構想は人材育成のための仕組みにとどまらず、東北地方の発展につながる事業プロジェクトの創出および人材の継続的な育成を可能にする仕組みでもあります。

地域と共に推進する

 当センターは、この構想の実効性を高めるために、地域の関係機関と連携して構想の具体的な内容づくりに取り組んでいます。二〇一〇年度は、財団法人東北活性化研究センターと共同で、経営人材育成について全国の優秀事例調査と東北地方の実態調査を行いました。二〇一一年度は、東北地方におけるイノベーション事例調査を共同で行っています。また、仙台市商工会議所の青年部と共同で塾のカリキュラムを開発するための研究会を立ち上げ、地域企業の経営者や後継者が抱えている問題やニーズを深く理解するための活動を行っています。

権 奇哲(コン キチョル)

権 奇哲(コン キチョル)
1960年生まれ
現職/東北大学大学院経済学研究科 教授
   地域イノベーション研究センター
   総括プロデューサー
専門/経営学
関連ホームページ/http://www.econ.tohoku.ac.jp/rirc/

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