四季の星座や流星群
表紙の写真

表紙写真:オリオン大星雲
裏表紙写真:冬の星座
佐藤孝悦氏(仙台天文同好会)撮影

 冬を代表する星座といえば、オリオン座です。ギリシア神話の狩人オリオンをかたどった星座ですが、その勇壮に輝く姿を、宮沢賢治は「勇ましい歌をつづけながらよだかなどはてんで相手にしませんでした(「よだかの星」より)」と表現しています。オリオン座の右上にはおうし座のすばるがあり、木枯らしが吹き始める頃、東の空にすばるを追うようにオリオン座が昇ってきます。
 冬の星空はオリオン座を中心に明るい星がにぎやかですが、オリオン座のベテルギウス・おおいぬ座のシリウス・こいぬ座のプロキオンが「冬の大三角」を作り、星や星座を探すよい目印になります。
 オリオン座で最も注目される天体はオリオン大星雲(表紙写真)です。中央斜めに並んだ三つ星の下、縦に並んだ小さな三ッ星の真ん中にあります。肉眼ではにじんだ星のようですが、望遠鏡では蝶が羽を広げたような星雲の姿が見えます。この星雲の中心には若い高温の星があり、その紫外線によって加熱された周囲のガスが輝いて星雲を作っています。
 この領域は新しい星が次々と生まれている「星のゆりかご」です。星誕生の現場は、濃いガスや塵に隠されて可視光線ではよく見えませんが、赤外線では中まで見通すことができ、詳しく調べることができます。
 東北大学で開発された高性能赤外線観測装置(すばる多天体近赤外撮像分光装置)がハワイのすばる望遠鏡に搭載されて活躍していますが、その最初のターゲットはこのオリオン大星雲でした。

東北大学名誉教授、仙台市天文台台長
土佐 誠
◎仙台市天文台 URL : www.sendai-astro.jp


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21世紀に入って10年が経ちました。皆様にとって、2010年はどのような年だったでしょうか。さまざまなことがありましたが、私の記憶に残るのは、とても暑い夏、そして、そろそろ紅葉かなと思うころに一気に冬が訪れた年でした。また、事業仕分けや尖閣列島、レアアースなども話題になり、際立った円高も印象に残っています。不景気の中、多くの方々が大変ご苦労されていることと思いますが、一個人としての立場からは、外国製品を買う、あるいは海外に出かける、という面で、円高は大変助かりました。暗い話題も多いですが、六月には日本の宇宙ロケット「はやぶさ」のカプセルが小惑星「イトカワ」から無事に地球に帰還しましたし、十月にはお二方の日本人がノーベル化学賞を受賞しましたように、明るい話題もいろいろとありました。特に前者では、東北大からもさまざまな方面から貢献した研究者たちがいます。来年は、皆様にとって、どのような年になるでしょうか。皆様にとって、そして私にとっても、2011年がより良い年になることを願いつつ、2010年の最後の『まなびの杜』をお届けします。
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