大学教育の潮流 ポートフォリオによる学習等達成度評価 田中 仁
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WEBポートフォリオを用いた面談風景
ポートフォリオとは?
 皆さんは「ポートフォリオ」という言葉を聞いたことがおありでしょうか?もともとは、建築家の活動歴・作品歴を示す資料などを挟み込むファイル、薄いカバンなどを指しています。これから転じて、教育の分野では「自身の目標設定・その達成のプロセス・最終的な達成度などを記述したもの」をポートフォリオと呼んでいます。本学工学部では二〇〇三年からポートフォリオを導入し、修学指導に役立てています。
ポートフォリオ導入の背景
 あることを実施した後、その効果の評価を求められることが多々あります。教育はこのような評価を行うのにふさわしくない事柄であると考える方も多いでしょうが、実際にはそれが求められている状況にあります。では、それはどのように調べることが出来るのでしょう?卒業した学生本人や就職先へのアンケートがまず思い浮かびます。また、資格試験などを用いると、より客観的に数字として評価が可能です。例えば、国家資格の獲得者数やなどの外部試験による英語力評価などです。しかし、これらにより統計上の平均点などの数値から効果は見えても、多様な個性を持つ個々の学生に応じた教育の効果を見ることは出来ません。日頃から勉学や勉学以外の活動についての目的意識を明確にさせ、学生個人の自主的な自己鍛錬を促すことは重要であり、そのためには,個々の学生の能力や性格に応じたきめ細かい指導が必要です。
ポートフォリオによる修学指導
 このような背景から、本学工学部では平成十五年度入学学生より紙面のポートフォリオを導入しています。A4用紙2枚表裏4ページのものです。この中には、4年間における学習の目標設定・その達成状況の確認・アドバイザー教員の助言、さらには取得した資格までさまざまな情報を記入することができます。これを用いて学期毎に教員が面談してきめ細かな指導を行い、教育の成果を上げています。
ポートフォリオを用いた成果と今後の展開
ポートフォリオによる指導の成果として、下記の事項が挙げられます。
●学生が毎年の勉学や勉学以外の活動について、達成目標を自覚することが可能となった。
●入学時より研究室配属まで個々の学生の勉学やその他の活動に対してアドバイスや支援が可能となった。
●学生の課題を教員がより迅速に把握できるようになった。
●教育カリキュラムや授業などへの意見を学生が述べやすくなった。
学生の毎年の到達度が把握できるようになった。
学生の勉学での満足度などを把握できるようになった。
 一方、ポートフォリオ導入より4年を経過するに当たり、平成十八年度末に同制度の評価を行ったところ、次のような問題点が明らかになりました。
●ページ数が限定され、記入スペースに限界がある。
●紙面での毎年あるいは半年ごとの調査であるために、事務が煩雑である。
●履修記録と連動していないため、詳細な履修状況の把握に基づく学習指導が困難である。
●集計に膨大な作業が必要であり、ポートフォリオの結果を組織として改善に結びつけることが難しい。
そこで、これらを改善するために、平成二十年度からUSBメモリー形式の電子ポートフォリオに移行し、さらには平成二十二年度からはWEB形式ポートフォリオを開始しています(写真参照)。
田中 仁(たなか ひとし) 田中 仁(たなか ひとし)
1956年生まれ
現職/東北大学大学院工学研究科 教授
専門/環境水理学、水工学
関連ホームページ
http://www.eng.tohoku.ac.jp/edu/?menu=edu-gp


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