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人間だけでなく建物も高齢化
今後、日本では人口構造の一層の高齢化を伴いながら人口・世帯数の減少が進展していくことになります。これに伴い都市、地域では、空き家、空き地の増加や介護需要の増大、既存都市施設の1人当たりの維持管理コストの増大などの種々の問題が発生することが予想され、都市計画や居住計画の分野では対応策として「コンパクトシティ」「空き家バンクシステム」「郊外市街地のスマートシュリンク(上手に縮退していく)」などのさまざまな構想が検討されつつあります。 マンション高齢化に伴う課題 マンションが一戸建と大きく異なるのはその権利形態です。一戸建の所有者は通常は一人の個人であって、取り壊しや建替の意志決定は一人の判断でできます。これに対してマンションの躯体は所有者全員の「共有」であり、取り壊しや建替などの重要な判断を行うには多くの居住者間で合意が形成される必要があります。同じマンションの居住者であってもそれぞれが抱える事情はさまざまであり、この合意形成には困難が伴うことは容易に想像できます。合意形成が困難なマンションは取り壊しも建替もできず、さらに極端な場合には居住に必要な機能を確保するための修繕もできないという事態も起こりかねません。特に最近、都市部に供給されている超高層タワー型のマンションでは戸数が多い分だけ困難さも大きくなると予想されます。 人口減少も視野に入れた対応策の要請 これからはマンションの問題以外にも冒頭に述べたような事態に対処していかなければなりません。現在の都市計画、居住計画のシステムは、人口増加と市街地の拡大の制御を目的としているものが多く、人口減少に起因する問題への対応という点では甚だ心もとない状況にあります。 |
いしざか こういち |