まなびの杜41号
 
各時代ごとの東北大学の学生像
春を待つ
―合格発表の風景/昭和52年(1977)3月18日
写真は、1977年3月の合格発表の風景。場所は片平キャンパスの旧法文グランド付近(現在のさくらホール、多元物質科学研究所材料物性総合研究棟付近)。写真左奥の掲示板に合格者が貼り出されるのを待つ顔と顔。右奥には戦中戦後期に「中央講堂」として大学や学生の行事に使われ、当時は大学生協の「公孫樹(いちょう)食堂」として親しまれていた建物が見えます。
 この年の合格者は2268人。当時はまだ現在のようなセンター試験(共通一次試験)もなく、受験は「一発勝負」の時代でした。掲示板に貼り出された名簿や番号を見ては湧き起こる歓声とため息。明治の昔からつい最近まではほぼ毎年、こうした光景が繰り返されてきました。会場の傍らにある移動公衆電話には長蛇の列ができ、合格した学生には、「先輩」学生による手荒い祝福と、学友会その他の部・サークルによる勧誘が待っていました。
 合格発表の会場に来ることが出来ない受験生向けに、先輩学生たちが合否を確認し電文を送るサービスもあります。送られる電文は「アオバモユル」と「ミチノクノユキフカシ」の2種類。ある新聞によれば、これは1950年頃にアルバイトとして当時の学生が始めたものだそうです。
 インターネットの普及により、本学でも現在は合格発表はホームページ上で行われるようになり、こうした光景は見られなくなりました。そのかわりに、パソコン画面の向こうで、多くの受験生たちが春を待っています。次の春は、どのような学生たちをこのまなびの杜に迎え入れることになるのでしょう?
東北大学史料館 永田 英明
 
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