地域の心のオアシスとして
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大島
吉輝=文
text by Yoshiteru Oshima |
豊かな自然が広がる青葉山に薬学研究科附属薬用植物園があります。薬用植物園は、初代園長の故竹本常松薬学部教授が唱えた「全山の草木はことごとく薬草薬木」という考えに基づいて、薬用植物にとどまらず、さまざまな植物の収集、栽培に努めています。解熱鎮痛薬・アスピリンが柳皮の成分をもとにして開発されたという例をあげるまでもなく、私たちは、薬の開発において薬用植物から大きなヒントを得てきました。薬用植物(生薬)は漢方薬としても使われます。さらに、私たちの生活のなかで薬用植物は至るところで使われています。清涼飲料水、菓子、佃煮にはカンゾウやステビアエキスが甘味料として含まれています。芳香健胃薬であるショウガは身近な食物です。薬用植物園では、カンゾウ、ステビア、ショウガはもちろん、バナナ、パイナップル、グァバといったトロピカルフルーツに至るまで、1200種もの植物を観察することができます。ここでは、大切な資源を身近に観察することができる薬用植物園と地域との係わりの一端をご紹介します。
1973年、竹本教授が中心となり、薬用植物に関心のある有志が集い「日本薬用植物友の会」が発足しました。薬用植物園は、友の会の設立以来、30年にわたって会員の方々に薬用植物の観察の場を提供してきました。友の会は、植物観察会や薬膳料理の講習会を定期的に開催しています。本園スタッフはボランティアとしてそれらに参加し、薬用植物から医食同源にわたる幅広い啓蒙活動をしています。また、友の会が主催する講演会においても、病気と薬に関する話題を提供し、会員とともに知識の向上を図っています。 |
おおしま
よしてる |