カキツバタ
いずれがアヤメか
カキツバタ
梅雨も近くなる頃,庭園も落ちつきを取り戻し,雨に濡れてしっとりとした緑の中にあでやかな濃い紫色の花が際立ちます。これらは単子葉植物のアヤメ科の草花です。同じ仲間には各地の菖蒲園に植えられるハナショウブ,ヨーロッパから来たジャーマンアイリス,ロシアからの帰化植物で湿地に生えるキショウブ,かやぶきの屋根に植えられたりするイチハツなどがあります。いずれも花の形がよく似ていますが,野生種の中ではノハナショウブ,アヤメ,カキツバタの3種の区別が一番難しいでしょう。アヤメは草原に,カキツバタは湿地に,ノハナショウブはその両方に生えますから,ますます始末が悪い。ノハナショウブは剣型の葉の中央に太い脈があって,出っ張っている特徴があります。カキツバタは葉が幅広く,花の色が青紫であることから,アヤメと区別できます。本当に出来るかって?植物園にいらしてぜひ,比べて観察を。
(理学部附属植物園長 鈴木三男)