昔、今、未来へ。

Message from OB

OBからのメッセージ
 私の中の「東北大」

長沢 由紀子=文


 3年前、卒業30周年の同期会をしました。法学部では30年目に同期会をするのが恒例になっているのです。さまざまな分野で活躍されてきた同期生の姿になつかしさと共にこれからの元気を得ることができました。
 法学部に1967年(昭和42年)入学の私たちは、団塊の世代でこの年度から定員が増員されました。当時は教養部が川内、学部が片平のキャンパスにありました。川内に点々と所在する教室は、雨や雪のとき移動が大変でしたが、片平のいかにも昔からの大学らしい重厚な建物との両方で学ぶことができて、今思えばおもしろいものでした。学生運動の盛んな時代で、大学建物封鎖事件などいろいろあって、私は一般学生として右往左往していました。そのような中で私にとって東北大学無料法律相談所との関わりが現在の仕事(弁護士)につながるものだったのです。
 法律を勉強中といっても現実の法律問題、つまり教科書通りでない応用問題に則して、法律をあてはめて解決することの難しさに音を上げてばかりでした。また当事者と直接お話しすることも大変なことでした。しかし先生方や先輩方の適確な回答を目の当たりにして、いつかは自分もわかるようになりたいと思い、現実の法律問題を解決する弁護士をめざすことになりました。
 そして弁護士となって早30年となり、この間女性の立場の仕事も多かったほか、弁護実務修習の司法修習生を何人か担当して、内3人が東北大の後輩でした。特に、一人は法律相談所の後輩でもありました。若い後輩のはつらつとした姿が頼もしく、母校とのつながりを強く感じました。
 私たちの年代は法学部は女子学生が本当に少なかった(240名位の内六名)のですが、今は女子学生が多くいます。私が受けた司法試験では、合格者中女性は6パーセントでしたが、今は約4分の1です。当時の模擬裁判のテーマは「女子の結婚退職制無効」でしたが、今はその制度の無効を疑う人はいないでしょう。世は確実に進歩しています。
 しかし自分の仕事の経験からみても現在男女平等が本当に達成されているとは思えず、女性が弱い立場の場面がまだまだ多くあります。
 男女共同参画社会、男女ともにいきいきと生活できる社会の実現がめざされている今日、東北大学は最初に女子学生入学を認めた国立大学であることを誇りとし、さらに男女共同参画社会実現の担い手となってほしいと思います。「男女共同参画推進のための東北大学宣言」や、法学部においての「男女共同参画社会の法と政策」などの今後の動向に、大きく期待しています。

ながさわ ゆきこ

1948年生まれ
東北大学法学部卒
現職:弁護士


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