現れるはずのないものが現れ、浮くはずのないものが宙を漂う。美女は真っ二つに切断され、確かに目の前のステージ上に存在したマジシャンは、突如客席のど真ん中に出現する。
いつの時代も人々は不思議なものに憧れるものです。私たち学友会奇術部は、不思議を愛する約百名の部員からなる大所帯の部です。主な活動は、毎年5月に行う東北学生マジック連盟主催の発表会と、毎年12月に行う東北大学学友会奇術部主催の定期発表会です。その他にも、大学祭でマジックショーを行ったり、頻繁に各地の子供会・小学校・老人ホームからの出演依頼に応じて出かけたりしています。
私たちの定期発表会は今年で43回を数えますが、その歴史の中で、特に1990年代はまさに日本の学生マジック界をリードするものでした。私たちはその歴史を受け継ぎ、現在も学生の奇術としては最高峰のものをお送りしているという自負のもとに、毎年の定期発表会を行っています。
奇術の魅力とは、究極的にはマジシャンの個性・人格によるものが大きいそうです。私たちはより優れたマジシャンたるべく、日々部員どうしが切磋琢磨し、自己を研鑚する努力を怠りません。東北大学奇術部が多くの部員を惹きつける理由は、そのような部の雰囲気にあるのかもしれません。
(奇術部総監 杉 基紀)
|