キャンパス散策

文人哲学者の人と生涯をたどる






 片平キャンパスの近く米ヶ袋3丁目4の29に、東北大学文学部阿部次郎記念館が開館しました。私財を投じられた「阿部日本文化研究所」は先生の没後、文学部に寄贈され「日本文化研究施設分館」として長く活用されてきました。このたび内装・外装を一新し、阿部先生の研究業績を顕彰し、遺品などを保存・展示する施設として1999年10月23日にオープンしました。代表作『三太郎の日記』の草稿、初版本類や講義ノート、肖像写真(土門挙撮影)や肖像画、漱石からの手紙(記念館の「阿部次郎」の文字は、この宛名書きからとりました)、初公開の四点の遺言状、俳句短冊など貴重な遺品類が展示されています。近代日本を代表する文人哲学者の人と生涯、漱石山脈の小宮豊隆ら法文学部初代教授陣、医学部教授でもあった歌人木下杢太郎、同郷の斎藤茂吉らとの幅広い交流の足跡を偲ぶことができ、東北大学の文系学部の原点を垣間見る思いがいたします。新年からは常設展に加えて、「阿部次郎と漱石」などの企画展を予定しています。


 長谷川 公 一(文学部教授)



開館日,時間
平日午前10時〜午後4時
(土・日曜日、祝日,月末日、12月28日〜1月4日休館)
問い合わせ先
東北大学文学部阿部次郎記念館
(仙台市青葉区米ヶ袋3-4-29 TEL267-3284)


この「まなびの杜」は、インターネットでもご覧になれます。
アドレス  http://www.bureau.tohoku.ac.jp/manabi/
※バックナンバーもご覧になれます。


●「まなびの杜」をご希望の方は各キャンパス(片平、川内、青葉山、星陵、雨宮)の守衛室、附属図書館、総合学術博物館、理学研究科附属植物園、病院(医病・歯病・加齢研病院)の待合室などで手に入れることができますので、ご利用ください。
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●無断転載を禁じます。
●「まなびの杜」は3月、6月、9月、12月各月月末に発行する予定です。
編集後記

 東北大学の片平キャンパスの中庭には、大きな樹木が数多く、見事な枝振りをほこっています。その樹間を四季折々に色とりどりの服の幼稚園児が先生に連れられて遊びにふけったり、パラソルのお母さんが幼児を散歩させる姿を目にする機会が最近とみに多くなってきています。このうちの何人かが幼い頃の思い出の東北大学で学ぶ日が来ることがあると思うと、ひとりでに微笑みが浮かんできます。『まなびの杜』も、このように、東北大学と市民の方々とのふれあいの場を設けたいという主旨で発刊されたものであり、その体裁も文体も小生は大変気に入っているので、毎回の編集会議を心待ちにしている次第です。気のあった仲間で今後とも皆様の心に少しでも残るものを作ることを目指していくつもりです。

(『まなびの杜』編集委員会委員 仁田 新一)