国立大学初の
 東北大学AO入試

 東北大学では、平成11年4月にアドミッションセンターを設置し、あわせて「AO入試」をスタートさせました。しかし、「AO入試」は一般にはまだ知られていないようですので、ここで「AO入試」の目的や趣旨を簡単に解説をしてみましょう。
東北大学アドミッションセンター長
(東北大学大学院工学研究科教授) 
中塚 勝人
  1941年生まれ
  専門:地質学、素材開発工学、
     地熱開発工学


大学で必要な学力的要素と人格的要素
 まず、大学での勉学や人格形成にとって、重要な能力や資質を考えてみましょう。
 大学は学問・研究の場です。とくに東北大学は研究第一主義の大学として、学生諸君には優れた学力的要素(知能・知覚能力・記憶・スキルなど)を求めています。
 同時に「どうしてもこのことを研究したい」「ぜひ東北大学で学びたい」という強い意欲も期待しています。自分が主体的に決定し強く望んでいることでなければ、人はその力を十分に発揮できません。自分の欲求や価値観、興味などに自分で気づき、いかに自己を作り上げそれをしっかりと保持するかという人格的要素が、能力発揮のための前提条件となります。入学者の選考を行う大学側の立場からいえば、学力的要素と人格的要素の二元論を踏まえたバランスのとれた人間観に立つことが重要です。


アドミッションズ・オフィス入試とは
 AO入試は、「アドミッションズ・オフィス入試」の略称です。日本で一番初めにこのしくみを取り入れたのは、慶應大学湘南藤沢キャンパスで平成2年度のことです。その後、国立大学でもAO入試の実施が検討され、東北大学が筑波大学と九州大学とともに国立大学として初めて、平成12年度入試から実施することになりました。
 AO入試が注目されるようになった背景には、ペーパーテストによる1点刻みの競争だけで入学者を決めることに対する根強い批判があります。つまり、入試の突破だけをめざして勉強してきた受験生は、入学後に不本意な学生生活に陥りがちです。この点を改善するために、従来の大学入試(一般選抜)が評価してきた学力的要素のほか、人格的要素もあわせて評価しようというのがAO入試です。
 本学で今年度AO入試を実施するのは歯学部と工学部です。歯学部は入学定員60名のところAO入試で10名を募集し、試験は平成12年2月に実施します。対象者はいわゆる現役の高校生です。工学部は、受験生の教育背景や特質に応じて四種類(四期)の入学試験を実施します。対象者はT期が高卒後四年以上経過した社会人など(募集人員は14名)、U期は現役の高校生(75名)、V期は既卒者を含めた高校生(100名)、W期は帰国子女など(若干名)です。今年度はすでにT期(8月)とU期(11月)が終了しており、V期を平成12年2月に、W期を同年8月に実施します。
 本学のAO入試の方法は学部や種類によって異なりますが、いずれも従来の入試のようなペーパーテストでの学力試験ではなく、書類審査や面接試問、さらに小論文試験(工学部のみ)などを行います。歯学部と工学部V期は大学入試センター試験の受験が必要です。
 ひとくちにAO入試といっても、その内容や特徴は大学によって千差万別ですが、東北大学のAO入試の特徴は、さしあたり次の3点にまとめられます。第1に、新設のアドミッションセンターに入試研究を専門とする3名の専任教官を配し、彼らとAO入試を実施する各学部の担当教官が協力しながら入試を行います。
 第2に、すぐれた能力や資質があることを前提に、多様なプロフィールをもつ人に大学教育の門戸開放しています。
 第3に、学力的要素と人格的要素の両面を重視しています。AO入試は学力を問わない試験という意見もあるようですが、本学では入学者にやる気とともに、研究に必要な基礎的教養・学力を身に付けていることを期待しています。
(AO入試に関する問い合せ先:
     東北大学アドミッションセンター
     TEL・022‐217‐5416
     http://www.adrec.tohoku.ac.jp/








広報紙コンクールで
『まなびの杜』が
レイアウト(デザイン)部門優秀賞を受賞


 広報紙『まなびの杜』が平成11年度国立大学等優秀広報紙部門別優秀賞(レイアウト「デザイン」部門)を受賞しました。
 これは、文部省が国立大学、高等専門学校などを対象に行っている広報紙コンクールで今年は大学・短大87校、高等専門学校50校が応募したものです。
 部門別優秀賞には企画、レイアウト、文章、写真の四部門があります。『まなびの杜第7号』はレイアウト部門において、文字、写真、グラフの配置、色彩などが工夫されていて、たいへん読みやすいときわめて高い評価を受け、今回の受賞にいたったものです。
 平成10年度に奨励賞を受賞しており、今回はさらにレベルの高い賞を受賞したものです。