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第11号(2008年9月)
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東北大学の「研究」最前線
−「東北大学の新世紀」(東北大学−東日本放送共同番組)連携企画−

「教師像の原型の論証 教員養成史の研究」

東北大学大学院教育学研究科
水原 克敏 教授

先生がこれまで研究をなさっていて最も喜び・やりがいを感じたのは、どのようなときでしょうか。

卒論から修士論文を書き、ドクターに入って学会発表をしましたが、全然通じませんでした。それから2年間、学会発表に価するだけの論証の方法が見つからないで苦しみましたが、3年次になってようやく発見しました。私はこれだ!と確信が持てました。学位論文を仕上げた時も嬉しかったですが、それ以上に、自分の学説が学会誌に掲載されたということが、研究者としての道を歩むことができるという自信になり、本当に嬉しかったです。

先生がこれまで研究をなさっていて最も苦労・苦心なさったのは、どのような点でしょうか。

博士学位論文「近代日本教員養成の確立過程に関する研究」では、日本の教師像の原型が、明治30年頃までに教育勅語の原則に則る仕方で「教育者精神主義」として確立したことを証明しました。しかし、その結論は容易には掴むことができませんでした。教員養成の歴史を詳細に説明しましたが、どう総括したらいいのか、その結論の目途が長い間立てられませんでした。これが最も苦労したことで、今でも時々その不安を思い出します。

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「命を支える実感 人工心臓の研究」

東北大学加齢医学研究所
山家 智之 教授

先生がこれまで研究をなさっていて最も喜び・やりがいを感じたのは、どのようなときでしょうか。

大学院時代、開発していた空気圧駆動型の補助人工心臓が、臨床試験に移ることになり、私が以前、勤務していたうちの関連病院で埋め込み手術が行われました。つい先月まで病院に勤めていた私が、今度は、大学から人工心臓を持って現れたので、看護婦さんに驚かれたものです。患者さんは無事、手術室から病室へ戻り、実際に役に立つんだなあ・・・と、実感し、ちょっと感動しました。

先生がこれまで研究をなさっていて最も苦労・苦心なさったのは、どのような点でしょうか。

日本では、医療資源の許認可が世界で一番遅いと言われています。がんの薬など、世界中で認可されていないのは、日本と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)だけ、と言われる始末です。人工心臓では、製造認可が下りるのに15年、保険請求ができるまでに20年、世界で一番遅い審査を経ている間に、海外の製品は型遅れになり、治療試験のやり直しで、その間にも心臓病の患者さんがどんどん死んでいます。日本では政府の医療機器の許認可システムの抜本的見直しが必要です。

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「公式への挑戦 科学を支える数学の研究」

東北大学大学院理学研究科
小谷 元子 教授

先生がこれまで研究をなさっていて最も喜び・やりがいを感じたのは、どのようなときでしょうか。

人の気がつかないような奇妙な予想をたて、それが正しいことが示せたときです。ある公式の意味を考えていたのですが、自然な説明を思いつき、計算をしたところするすると解けて予想どおりにうまく解決できたときは、とてもうれしくて、まわりの人にふれて回りたいような気持でした。別のときに、全く由来の違う2つの現象の間の関係を見つけ、自分でも気にいった結果になりました。

先生がこれまで研究をなさっていて最も苦労・苦心なさったのは、どのような点でしょうか。

解けそうなのだけれどどうしても解けない、解決の方向が見いだせないのに、頭から問題が離れず、手も足もでないのにあきらめられないという状態になることがあります。自分が正しい方向に向かっているかわからない不安な気持ちを抑えながら、建設的に作業をすすめる心の鍛錬は難しく、この年になってもうまくできません。

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「宇宙ロボット、宇宙へ 宇宙探査工学の研究」

東北大学大学院工学研究科
吉田 和哉 教授

先生がこれまで研究をなさっていて最も喜び・やりがいを感じたのは、どのようなときでしょうか。

私は、自分の研究が、宇宙に飛び立つ衛星や探査機に直接結びつくことを目標にしてきました。最初の経験は、1997年に打ち上げられた技術試験衛星VII型(おりひめ・ひこぼし)です。この衛星を使って、学生時代より研究を続けてきた宇宙ロボットの軌道上実験を行い、貴重なデータを得ることができました。 二度目は、2003年に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」です。小惑星表面に降り立って岩石サンプルを採集する技術の開発に貢献することができました。これらの目標が達成できたときが、最大の喜びです。 そして今、第三のチャレンジとして、2009年1月の打ち上げを目指して、「スプライト観測衛星」と名づけた小型科学衛星の開発を東北大学内で進めています。これは非常に大きなやりがいを感じる仕事です。

先生がこれまで研究をなさっていて最も苦労・苦心なさったのは、どのような点でしょうか。

宇宙開発は、やり直しの利かない世界です。宇宙空間で確実な動作をさせるために、地上での試験検証を、納得行くまで繰り返さなければなりません。またスケジュールとの戦いも強いられます。宇宙と聞くと「最先端」の研究という印象がありますが、実はその正反対の地道な作業がたくさんあります。しかし、それらを乗り越えた先に、新しい成果が待っていることを、いつも信じています。

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