■現在のお仕事
藤田総合法律事務所を開設して、弁護士スタッフ達と法律の実務をやっております。同時に、東北大のロースクールの教授もやっており、二足の草鞋を履いています。
■弁護士としてのお仕事
非常に幅広く仕事をしています。弁護士の仕事というと、法廷で戦う、被告人を弁護する、というイメージがあると思います。しかし実際には、法廷まで行くまでには様々な段階や過程があります。
民事事件で言いますと、クライアントに法律的な悩みがあった場合、まずはその話を聞いて、アドバイスをするというのが第一歩です。そこで「こういう風に契約書作りましょう」という提案や、「申し入れている契約は、このような内容になっていますよ」という説明をするだけの案件もありますし、「裁判を起こされている」とか、「離婚したいのに夫が応じないので調停や裁判に持ち込まなければならない」という案件や、「相手と交渉してきたが決裂してしまったのでこれから裁判に行く」という場合など、多種多様なケースがあります。
何にしても、弁護士の仕事は相談から始まります。その中で、裁判にならないで済む場合もあるし、どうしても話がまとまらず調停を起こしたり、更に裁判へと進んでいく場合も出てくるわけです。
また刑事事件の場合では、当番弁護士制度といって、お医者さんで言えば当番医のようなシステムがあり、逮捕勾留されて緊急の相談をしたいけれど依頼できる弁護士がいない場合など、当番弁護士が駆け付けて被疑者の話を聞く、ということもあります。そこで弁護をすることになれば、検察官に釈放してくれるように、または不起訴にしてくれるように働きかけることもあれば、裁判や法廷で弁護するというような仕事もしています。
■一番のやりがい
私が弁護士として、やりがいを感じて熱心に取り組んでいるのが、患者さんサイドに立った医療裁判です。以前は「お医者さんのした事は仕方がない」と患者さんが泣き寝入りするケースがほとんどでしたが、15年ほど前から、それまでは小数点以下だった医療裁判の勝訴率が徐々に上がってきています。
それというのも、患者さんの権利意識が高まってきたことや、医師の中にも弁護士に専門知識をアドバイスしてくれる方が増えたということが理由にあげられます。
私も医師をやっている大勢の友人がおり、東北大学時代の友人が多いのですが、そういうお医者さんの助言を受けながら患者側に立って、病院や医師に損害賠償を求めるという仕事をしています。
医療裁判というのは、法律的な知識のみならず、医学的な知識も必要とするので、非常に特殊な分野ですが、私は弁護士としての醍醐味とやりがいを感じて、非常に力を注いでいます。
■学生時代の思い出
私は法学部の出身ですが、当時、法学部の学生150人のうち女子学生はたった2人しかいませんでした。上の学年でも何代もずっと女子は1〜2名と少なく、それだけに学生仲間や先生方からも目をかけていただき、大事にしていただきました。例えばお昼休み時間に街でばったり先生に会うと、お昼をご馳走になったりお茶をご馳走になったり、また先生のご自宅にも呼んで頂いたりと、女子学生が非常に少なく目立つ存在だったためか、とても可愛がっていただきました。
学生仲間の中でも、私などはオーケストラに熱を上げて授業はさぼりにさぼっていたのですが、試験の前にちょっと一声「授業に出ていないからノートを貸して」と言えばたちまち沢山のノートが集まって、「どれで試験勉強しようかな」という具合で、なんとも牧歌的でした。
藤田祐子弁護士:
平成4年に入学した私の時代は、女子学生がどんどん増えてきた頃で、法学部全員の人数が250名、女子学生はそのうちの3割近く、60〜70名はいたように思います。女子が多ければそれはそれで楽しい面も多く、女子学生だけで集まったり下宿先に泊りに行ったり。もちろんそうは言っても男子学生の方が多いので男子学生と遊ぶ時もありましたし、どちらもそれぞれ楽しい思い出です。
講義に関しても、東北大学の先生だけではなく、夏休みなどに東京の私大の先生の講義を聴講する機会があって、3週間ほどの集中講座ということで、ベトナム法や南米法などという変わった講義を聴いたりするのが有意義でした。
また全学部が一緒にやるサークル活動も盛んでした。私が参加していたバドミントンサークルにも、あらゆる学部から男子も女子も大勢参加しており付き合いの幅が大変広がりましたし、そういう雰囲気の中で、授業を受けるのもサークル活動を行うのも非常に楽しかったですね。
松林昌紀弁護士:
私は平成6年の入学なので祐子先生とほとんど同じ環境だったと思います。
ただ私の場合は、情熱を持って何かに打ち込んだというよりも、将来何をしようかと、自分探しと言ったら大袈裟ですが、それがメインの学生時代でした。よく図書館に行っては様々な本を読んだり、そういったことが一番の思い出として強く残っています。
※藤田綜合法律事務所には、現在東北大学出身の2名の弁護士が所属しています。世代の違う東北大学の同窓生ということで、お2人からもお話をうかがいました。
藤田祐子弁護士:
藤田紀子弁護士の次女。平成8年東北大学法学部卒業、平成11年司法試験合格、平成18年4月より藤田綜合法律事務所に加入。
松林 昌紀弁護士:
平成11年東北大学法学部卒業、平成16年司法試験合格、平成18年10月より藤田綜合法律事務所に加入。
■仙台のよさ、東北大学のよさ
藤田祐子弁護士:
修習生として東京に行ってみて、中央においては地方都市にある東北大学の出身者は少数派であることを始めて実感しました。一方で東京や大阪という大都市の大学の出身者の数は非常に多く、その大勢の中で、私が地方都市の国立大学で学んだことや地方都市で体験してきたことが、実はとても貴重な経験だったということに気がつきました。中央に行って初めて「私は仙台で東京の人達が出来ないことを経験してきたのだな」と、実感したわけです。東北大学のよさというのは、正にそれだと思いますね。東京にはいないけれども、それに劣らない勉強と経験が出来る、そのことを在学中から自負して過ごしてほしいですね。私自身は東北大学でその点が非常によかったと感じています。
松林昌紀弁護士:
大学を卒業した後、司法修習の期間を札幌で過ごしましたが、東北大学出身の弁護士の先生と会うと「君も東北大学か」と目をかけていただいて食事をご馳走になったり、札幌にある東北大学法学部の同窓会で集まったりと、同窓生のネットワークの強さを感じました。東北大は伝統がある大学ですし、同窓生同士のネットワークを今後更に強めていくことは、本当に素晴らしいことだと思います。
私は、中学、高校、それから大学とずっと仙台で過ごしました。私の父が裁判官で、あちこち転勤していたので、私自身も仙台で生まれ育ったというわけではなく、各地まわっていたのですが、、中学からはずっと仙台に落ち着いています。
何事においても東京が中心ですが、とはいえ日常の生活を東京でする気にはなりません。仙台で落ち着いた日常生活を送り、東京で行われる会議や、東京でしか開催されない音楽会やオペラがあれば、それほど時間もかからないのだから東京まで気軽に出かけていけばよいと思っております。そういったメリットが仙台にはあると思っています。