東北大学・東北大学全学同窓会
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癒しのミュージアム01
「都会のオアシス・植物園に行こう。」
   
●世界唯一!都会に存在する天然記念物の森
東北大学植物園


 仙台駅から直線距離にして3.5km。百万都市仙台のど真ん中に、希少性の高い多様性の森が存在していることをご存じでしょうか?現在、東北大学植物園もその一部に含まれる「青葉山」は、伊達政宗が仙台城を築いて以来、ほとんど人の手が加えられることなく現存している貴重な森。樹齢300年を超えるモミ林をはじめ、学術上貴重な動植物がたくさん存在することから、昭和47年、国の天然記念物に指定されました。

 この「青葉山」のように、都市の中心部に原生的な森が存在しているという例は、世界的にも類を見ません。ヨーロッパを旅行した方などが「ベルリンにも美しい森がある」とおっしゃいますが、あれは実は人造的な森で、ほんの50〜60年ほどの歴史。東京の「神宮の森」も同様で、こちらもせいぜい100年ほどの森です。一方「青葉山」は自然な植生を保っており、学術的にも大変貴重な存在です。

  「青葉山」が、自然のままの状態で数百年も残ることができたのは、ここが仙台城の一部であったことに起因します。仙台城の後背地にあたるこの森は御裏林(おうらばやし)と呼ばれ、城の防備上立ち入りが禁止されていたこと、そして、水源地としても重要視されていたため伐採が行われませんでした。さらに近世にあっては、史跡内であることから開発が規制され、こんにちまで美しい森が継続しているのです。
東北大学植物園 園長
農学博士
鈴木三男 教授
 
宮城野萩   東北大学植物園
  ●「モミの巨木林」こそが、仙台の特徴・・・

 杜の都・仙台といえば、多くの方々は街中にきれいに植栽されたケヤキ並木を思い描くでしょう。もちろんそれも象徴的なイメージですが、ここ「青葉山」から見ると、仙台の特徴的な木とは「モミ」ではないかというのが私の持論です。伊達家のお家騒動を描いた山本周五郎の時代小説「樅の木は残った」でも、当地を象徴する木として登場しています。

 モミは日本に自生する常緑針葉樹。暖かい地方に多く生え、ここ仙台が北限と言われますが、古くから伐採されてきたため平野部ではほとんど現存しません。この植物園のように、モミの林が平野部にあるというのは、全国的にもまれなのです。

 まれと言えば、森を観察しているとキウイフルーツやシュロ、ヤツデといった東北地方での自生が見られない植物に出会います。「青葉山」は野鳥の休み場でもあるため、それらの種を鳥が運び、自然発芽したのだろうと考えられますが、以前は見られなかった南方系の植物が自生できるという背景には、地球の温暖化が進み、仙台の冬が暖かくなったことが関係していると思われます。
木立   モミの林
  ●東北大の新ロゴマーク「ミヤギノハギ」は  これからの季節が見ごろ

 県花でもあり、東北大学の新しいロゴマーク:モチーフにもなった「ミヤギノハギ」は、8月下旬頃から花が咲き、園内を賑やかに彩ります。「ミヤギノハギ」は、数あるハギの中でも花付きがよく、一つ一つのサイズも大きいのが特徴。赤紫の色が強く華やかなため、人気の品種です。なぜミヤギノなのか・・・この名前が、いつ、どこで付いたかは不明ですが、江戸時代にはもうすでにその名で呼ばれていたようです。可憐なこの花、園内のロックガーデン付近に咲いておりますので、ぜひご覧下さい。

 花の季節…春、新緑そして深緑が魅力の夏、紅葉の秋、白に埋もれ、エネルギーを蓄える冬。一本一本・・・ここに生きる木々たちの一年間の働きすべてが森を形成しています。その森の息吹をまるごと愛することが、自然を守ることにつながるように思います。

 この、都会のオアシス「東北大学植物園」で四季折々の森の楽しさを、どうぞ存分に味わってみてください。
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