大 滝 精 一=文
text by Seiichi Otaki
おおたき せいいち
1952年生まれ
東北大学経済学部教授
専門:経営政策
経営組織
研究開発管理
有効なネットワークを構築し、 緻密な計画と自己の機動力で 道を切り開く。 |
東北大学出版会だより4戦前・戦後の青年たちの必読書『三太郎の日記』などで著名な阿部次郎先生は、東北帝国大学を代表する教授のお一人で、思想史や哲学・美学、日本文化史の研究に大きな足跡を残されました。先生の三女大平千枝子さん(文学部美学科卒、仙台市在住)はエッセイストとして活躍されています。1961年の日本エッセイストクラブ賞に輝いた幻の名著『父 阿部次郎』が、東北大学出版会叢書の3点目として、このたび増補復刊されることになりました。 娘の視点から、父の『語り部』として、主に家庭人としての、とくに敗戦直後の時代を背景に最晩年の阿部先生を描いたものです。家庭内でも理想主義を貫徹しようとする精神的にも肉体的にも強い父の姿。その父の老いとのあらがい。日々勝る死の影。衰微していく肉体と精神。阿部先生とそのご家族が、老いと死をどのように受け入れていったのか。愛惜のまなざしと透徹した観察力と筆力によって紡ぎ出します。
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