まなびの杜38号
 

各時代ごとの東北大学の学生像

学都に集まった科学青年 ー理科大学第一回卒業記念写真(大正三年)ー

 大正3年(1914)夏、24名の学生が東北帝国大学理科大学の一期生として卒業しました。この写真は、卒業を控えた学生たちが理科大学の前で撮影した記念写真です。当時の卒業式は7月に行われ、写真にも夏服姿の学生が多数見えています。写真の前2列は当時の教官たちで、北條時敬(第2代総長、前列左から8人目)を中心に、真島利行(化学)、本多光太郎(物理)、林鶴一(数学)、小川正孝(化学)、石原純(物理)、田邊元(哲学)などといった、草創期を支えた方々が並んでいます。
 学生たちが仙台の地に集まったのは3年前の秋。受験資格を広く認めた「門戸開放」方針の結果、少数ながらも、バラエティに富んだ学生が集まりました。出身地は全国各地にわたり、最高齢の学生は数学科助教授の中学時代の恩師だったそうです。全学年100人程度の学生数に30名近い数の教師。助教授や講師クラスに30代の気鋭の研究者が揃うなか、学生たちは、当時の先端科学の研究者である教師たちを、極めて身近な存在として感じつつ学生生活を送りました。
 一期生たちのその後は、大学や高等学校等の教師になった者が半数以上。その他は大半が技術者として官庁や民間企業で活躍しましたが、なかには地元新聞の科学記者として活躍した者もいます。いずれも、大正から昭和にかけての日本の科学界を、さまざまな形で支えた人々です。

東北大学史料館 永田 英明  
 
創立100周年
 
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