ガラスとは結晶化することなく固化した無機物質であり、石英の砂、炭酸ナトリウム・酸化鉛などを、1000度以上の高温で溶かし合わせてつくります。できたてのガラスは、水あめのようにドロドロで白色に輝いています。これを、平らな所に流して固めて板ガラスにしたり、管の先につけてふくらませて、さまざまな形の容器をつくります。
東北大学工学部技術部のガラス工房では、研究用ガラス製実験装置や器具の製作・改良・開発を行っています。これまで100気圧以上の圧力にも耐えるガラス反応器や超低圧熱分解装置の製作に成功するなど、大学の教育・研究活動に大きく貢献してきました。現在も、研究用や学生実験用の器具の加工・修理などの注文で、一年中大忙しですが、オープンキャンパス時には、参加者の皆さんにもガラス細工体験コーナーを開放しています。
写真のガラス装置は、1915年にドイツ人のゲーデにより発明された水銀拡散ポンプです。排気すべき圧力の低い気体中で、左下の部分に溜めた水銀を加熱します。蒸発した水銀蒸気は、円筒の上部に到達し、U字管を通って装置の右側に移ります。そして、ジェットノズル(中央の2つの球を上下に連結している細い部分)から噴射され、その噴射エネルギーにより拡散で飛び込んだ気体分子を捕らえて運び去ることにより、空気の圧力をさげる仕組みになっています。装置の右側に、角のように飛び出して見えるのは、ポンプの吸気口(上部)と排出口(下部)です。
ガラス細工は、理化学や工芸を支えるためになくてはならないものです。それは、常に新しい技術の習得、芸術性が求められる、大変奥の深い技なのです。
東北大学大学院工学研究科 教授 正田晋一郎
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