緑に囲まれた「庭園」の中で、半世紀近い時を重ねる。

 

 川内南キャンパス東側、旧仙台城石垣の上に広がる庭園は、春は花見、七夕には花火見物で賑わいます。この庭園の北側に並び立つのが、東北大学記念講堂とその別館「松下会館」です。
 これらはともに、本学の創立五〇周年記念事業の一環として昭和三十五年に建てられました。当時川内地区には米軍駐留時代の木造建物が並んでいましたが、将来川内・青葉山地区を中心に新しいキャンパスが整備されることを見越して、鉄筋コンクリートのこの大型建物が計画・建設されたのです。
 大小の会議室を備えた別館「松下会館」は、松下電器産業株式会社からの寄附によって建てられました。当時社長であった松下幸之助氏が、工学部電子工学科の小池勇二郎教授と意気投合し、建設資金の寄附を決断したと伝えられています。
 高度経済成長の始まろうとする頃、新しいキャンパスの象徴として真っ先に誕生したこれらの建物は、半世紀近い時を重ねた現在も、式典や学会などさまざまな行事に利用され続けています。

東北大学史料館研究員 永田 英明


 

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編集後記

 アリゾナの砂漠の真ん中にあるアリゾナ大学関連の医療施設を平成17年10月中旬に見学し、新たな医学について議論してきました。それは、いわゆる西洋医学以外の新たな治療の選択肢を求める患者さんの声が大きくなってきた結果生まれた分野であり、「相補・代替医療」と称されるものであります。例えば、漢方薬であるとか、鍼灸やインドのアーユルベーダ、チベット医学などの伝統的な医学や、音楽療法、アロマテラピーなどの心身の“癒し”の療法などが取り入れられているものです。さらに最近では、これらの利点をとらえた、統合医療が新しいウェーブとして起こってきています。この分野の応用は、特にがんに適用され、患者さんがQOL(Quality of life:生活の質)を感じながら生活することによって、従来得られなかった治療効果が報告されてきています。このように、価値観が時代と共に変わっていき、今までの科学万能の時代から、心を論じられる時代に映りつつあるのが実感されます。大学の存在価値も時代と共に変わっていきますが、本学は常にこれらの最先端のリーダーであらんと欲しています。この姿が本誌で少しでも感じていただければ幸いです。

『まなびの杜』編集委員 仁田 新一


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