写真の子豚はデュロック種という赤毛の品種です。イノシシから家畜化されたブタには多くの品種があり、この他に色の白いランドレース種やヨークシャー種、黒豚として知られるバークシャー種、黒地に白いベルトを巻いたようなハンプシャー種などがいます。
世界中にはおよそ九億頭のブタが飼育されていますが、実にその半数は中国で飼われています。中国やドイツなど豚肉が食肉の主役となっている国では、「ブタで不要なものは鳴き声だけ」と言われるほど有効に利用されています。日本でも豚肉はよく食べられており、食肉消費の半分にもなりますが、近年では海外から全体の半数に迫る勢いで輸入されています。国内の養豚農家の戸数は年々減ってはいますが1千頭以上を飼育する大規模な農場での生産が増えており、総頭数では約九百万頭の水準を保ち、食卓を支え続けています。
最近の豚肉生産のトレンドは、特徴ある品種の造成と豚肉のブランド化です。豚肉のブランドと言えば、これまでは「かごしま黒豚」や「トウキョウX」などが有名でした。写真の「赤豚」デュロック種は、宮城県畜産試験場と本学農学研究科が協力して品種改良したもので、平成13年に「しもふりレッド」の名で登録された最新ブランドの豚です。その名のとおり、普通の豚肉の2倍の脂肪(約5%)が入り、霜降り状に見えるのが特徴で、ちょっと贅沢な美味しさを求める購買層をターゲットにマーケティングが進められています。
(東北大学大学院農学研究科 渡邊 康一・鈴木 啓一)
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