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世界一のスーパーコンピュータSX‐7 |
コンピュータシミュレーション 現在、宮城県沖地震が今後高い確率で発生することが予想されています。その被害を最小限に食い止めるためにさまざまな対策がとられつつありますが、適切な対策を計画するためには、事前に地震の強さ、被害の及ぶ範囲などを正確に予測することが必要になります。しかし、地震などの大規模災害を発生させる実験をすることはできません。このように実際に行うことが困難、不可能、または危険であるような実験をコンピュータ上で模擬的に実験し、評価・解析する技術をコンピュータシミュレーション技術と呼びます。
スーパーコンピュータ コンピュータシミュレーションで物理現象の解析を行うためには、対象とする領域を細かく分割し、それぞれの小領域での空気の流れや力の伝わり方を計算により求めます。従って、より高い精度で現象の予測を行うためには、領域をできるだけ細かく分割して計算しなければなりません。その結果、扱うデータは数十億から数兆文字に相当する量になります。そして、これらのデータを基に、現象の解析・評価を効率的に行い、タイムリーな予測(明日の天気予報に一週間もかかっては使い物になりません)をするためには、大量のデータを瞬時に処理できる高性能な計算能力が求められます。 世界一のスーパーコンピュータSX‐7 パソコンを数千〜数万台並べただけでは、優れたスーパーコンピュータを作ることはできません。スーパーコンピュータには、大量の計算を行う個々の演算能力の高さばかりでなく、演算器・メモリ(データを保管する記憶装置)間、および複数の演算器間でデータを高速にやりとりするための高いデータ転送能力が求められます。さらには、スーパーコンピュータの高い潜在能力を最大限引き出すための高度なソフトウェア技術も必要とされます
私たちは、スーパーコンピュータのシミュレーションプログラム解析、およびその高速化技術に関する研究開発を企業と連携で長年にわたって取り組んできました。その成果が数多く取り入れられて開発された東北大学のスーパーコンピュータSX‐7(図1)は、2004年11月、スーパーコンピュータの世界的な性能評価試験「HPCチャレンジ」において、28項目中16項目で世界最高性能を達成し、国内外で高く評価されました。SX‐7は365日、24時間フル稼働で学内外の学術研究者に利用され、新聞紙上を賑わせる数多くの成果を生み出しております。 |
1961年生まれ |