市民のためのベンチャー講座 3

ビジネス・プランを書く

大 滝 精 一=文
text by Seiichi Otaki

おおたき せいいち
1952年生まれ
東北大学経済学部教授
専門:経営政策
   経営組織
   研究開発管理



事業の魅力を論証するために−

 あなたがいま,ある事業を始めたいとします。そのとき,まずしなければならないことは,ビジネス・プラン(事業計画書)を書くことです。ビジネス・プランとは,あなたが事業を通して製品やサービスを販売し,満足できる利益をあげ,またその事業の支援者にとって魅力のある能力を持っていることを,説得力を持って論証できる企画書のことです。
 一定の資金さえあれば,あなたが会社をつくることはさほど難しいことではありません。しかし,その事業を継続的に発展させていくことは,容易ではありません。そのためには,まず創業時にしっかりとしたビジネス・プランを書くことが大切なのです。
 ビジネス・プランには,ほぼ確立された一定の様式があります。まず,あなたの会社がどんな中身なのかを要約した経営ガイドが必要です。経営の要約に続いて,あなたの会社が,どんな他社とは異なる独自性を持つのかを,説得力を持って示すことが求められます。会社の経営戦略や経営陣の特長を書き込むことも忘れてはいけません。

基本戦略から将来予測もプラス

 事業を始めるにあたって最も重要な問題は,誰があなたの会社の顧客なのかということです。具体的な顧客を挙げることのできない起業家の卵は,事業を起こす準備ができていないといっても過言ではありません。誰が潜在的な顧客で,その数がどれ位なのかを,競争相手の評価を含めて分析する必要があります。
 あなたが具体的にどんな製品やサービスによって事業を始めるのかをきちんと描き出すことも大切です。また「何を」売るかだけでなく,「どのように」売るかについての販売促進の基本戦略もビジネス・プランに記述しておかねばなりません。
 とはいえ,事業を継続するには,何といっても資金が必要です。あなたの会社の業績が将来どう推移するかを予測し,それを財務的数値に表すことも忘れてはいけません。その業績予測が理にかなったものであれば,事業の支援者からの協力も得やすくなります。
 ビジネス・プランを書くことには,それによって金融機関や投資家からの支援が得られるだけでなく,営業用のツール(武器)として利用したり,あなたがより深く事業について考え抜くための助けとなる効果もあります。ベンチャー支援機関の多くは,現在ビジネス・プラン作成の指導も行っています。また,それを短時間につくるソフトも市販されていますので,一度こうした専門機関のアドバイスを受けてみることも有効です。




東北大学出版会だより2



 学生や一般の読書人が,手頃な値段で読める入門書や概説書として,講義のサブテキストとして,東北大学出版会叢書(TUP叢書)を企画しました。東北大学のスクールカラーの緑をアクセントにしたソフトカバーの瀟洒な本です。
 TUP叢書の第1冊目は,本学名誉教授で,わが国を代表する西洋史学の泰斗として名高い西村貞二氏のエッセイ集『歴史学の遠近』です。「西洋の十大史書」として何をあげるべきか,にはじまって,物語的歴史の魅力が縦横に語られています。
 梅木氏は本学国際文化研究科の気鋭の助教授です。ジャンジュネを手がかりに,人生にとっての放浪の意味を読み解きます。サルトルやデリダが論じたジャンジュネに放浪者という新しい光をあてています。
 出版会の本をご希望の方は,お近くの書店にご注文ください。主要な図書は東北大学生協川内店文系書籍部(植物園近く)などに常備しております。お急ぎの場合には直接小会宛,前金にてご注文ください。

西村貞二緒『歴史学の遠近』
梅木達郎著『放浪文学論−
ジャンジュネの余白に』
(ともに本体価格1,600円
 1997年9月刊)

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